馬の美術150選を観に行ってきました。
http://www.bajibunka.jrao.ne.jp/uma/event/event_20170804.html以前見てときめいた、『真夜中の馬』が展示されるとのこと。(記事「ピカソ版画展」参照)
検索してもポストカードどころか掲載されてる本も見付けられなかったので、
ここで見逃したらもうお目に掛かれないのでは? と思ったのです。
しかも北斎やロートレックやドガも展示されてるとか。
根岸に行くのは初。
地方出身者からすると「横浜」と言えば都会か新興住宅地しかないイメージなのですが、
根岸駅はかなり年季の入った小さい駅舎でちょっと予想外でした。
郊外とか地方感がある。
ホームから工場が幾つか見えたので、整備した土地が余ってる感じなのかな、と思ったのですが、
駅を出ると結構行き来のあるバスターミナルがあり、それも違う様子。
バスが駅前を出ると山というか高地が見え、「街の中に山があるなんて箱根みたいだなー」とか
呑気に思ってたのですが、バスはその高地をぐんぐん上り始めました。
えっここ上るの? 住宅街なの? 家の向かい崖だよ? 都会は土地が無いから?
というか高級そうなマンションがある…人気? そしてこの上に公園や博物館が??
と、かなり頭の中がこんがらがりました。
これは私が平地で育った所為です。街の中に高地や坂があるのが、肌感覚としてちょっと不思議なのです。
そして地方は土地が余っているので、所謂ハコモノは住宅街の外にあるイメージというのもあります。
競馬場も大きい公園も博物館も。
なんだか今までの私の街縮尺では測り切れない街でした。
坂を上り切って、博物館に着きました。
整備された公園の中の、小ぢんまりした建物。
しかし展示室は地下で、結構広かったです。
展示の序盤は厩図や合戦の屏風の他に、室町や江戸時代の鞍や鐙があったのですが、
とにかく装飾の細かさや華美さに驚き。
だって全面螺鈿とか金蒔絵とか銀細工とかですよ。
意匠や技術は素晴らしいですが、成金趣味が過ぎるというか。
サイトで触れられていなかった、広重の東海道五十三次の状態の良さにも驚きつつ、
展示の後半へ。
見どころとされる北斎の『馬尽』があり、摺物という少部数印刷の為か、
線の繊細さがよく分かりました。
そして次の区画は、馬に関する絵画がぎゅうぎゅうに展示してありました。
ロートレック以外にシャガールや東山魁夷もあるんですけど。
なんか絵よりぎゅうぎゅうさが気になってしまいました。笑
でも、お目当ての『真夜中の馬』はありません。
次の展示室なのか、と順路を進んで、廊下に出たところで呆然としました。
展示室ではなく、トイレの前に『真夜中の馬』が展示してあったのです。……嘘でしょ?
印刷物だから? 他の人の本の挿絵だから? 印象的な画風と違うから?
いや、何にしてもトイレの前って失礼過ぎる。
ショックで、せっかくの絵との再会に集中出来ませんでした。
悔しいので絵の前(トイレの前)を4回くらい往復して、ああこのページの装丁が可愛いと思ったんだ、
と反芻しましたけどね。
(こんな展示なのに写真撮影しちゃダメなのかよ、とか思ったことは秘密です)
見どころと銘打つなら、ちゃんとスペースを確保して欲しかったです。
あれじゃあ気付かずにスルーしてしまう人もいると思います。
次の展示室には馬の彫刻がいっぱいあって、
ドガのブロンズ像が群を抜いて躍動的で格好良かったです。
でも、「ここを詰めて『真夜中の馬』も展示してくれれば良かったのに…」と
気が散ってしまいました。
精神的にほうほうの体で物販コーナーを覗くと、『版画に表された馬』という本を発見。
見てみると『真夜中の馬』も載っていたので、買うことにしました。
本当は装丁を含めて好きなので、挿絵の部分だけクローズアップされるのはちょっと物足りないのですが、
そんなこと言ってたら二度と見られないかも知れないので。
まぁ私は『真夜中の馬』目当てだったのでこんな書き方になってしまいましたが、
こんな豪華な展示内容が入場料200円で観られるなんて、JRAの関連団体施設ならではだと思うので、
行かれてみてもいいんじゃないでしょうか。
あの、何処かの街に少しずつ似ているようで、何処の街にも似てない根岸の街を眺めて、
博物館に行ったら是非、トイレの前も忘れずに回ってください。笑
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